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アニメと漫画の考察をだらだらやってみる

購入漫画と好きな作品の分析中心。今季はセイレンの感想を毎週書く予定。

健全ロボ ダイミダラー4話における脚本の技巧

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 『健全ロボ ダイミダラー』4話「Sixの挑戦」は個人的に超ストライクな話。

 シリアスとギャグが調和した格別の脚本だと思っているし、その技巧も素晴らしい。

 

 以下、気付いた所を少々解説してみる。

 

 

 立原道造 「夢見たものは……」

 

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 まず押さえておくべきは、立原道造の詩。

 作中、恭子が一部を語っていたけれど、全文をちょこっと貼り付けてみる。

 

 

夢みたものは ひとつの幸福

ねがったものは ひとつの愛

山なみのあちらにも しずかな村がある

明るい日曜日の 青い空がある

 

日傘をさした 田舎の娘らが

着かざって 唄をうたっている

大きなまるい輪をかいて

田舎の娘らが 踊りをおどっている

 

告げて うたっているのは

青い翼の一羽の 小鳥

低い枝で うたっている

 

夢みたものは ひとつの愛

ねがったものは ひとつの幸福

それらはすべてここに ある と

 

 ──立原道造 「夢見たものは……」

 

 

 ギャグ的に考えならと、恭子の声優である「日笠陽子」に引っ掛けて「日傘」の言葉があるこの詩を採用したのかもしれない。

 また、「青い翼の一羽の小鳥」は「ダイミダラー一話に登場したヘンリー」にかけているのかもしれない。

 

 

 「後ろから前から」が今回の統一テーマに

 

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 この「後ろから前から」という部分が重要。

 普通は「前から後ろから」というのが常套句なのに、「後ろから前から」としているのは脚本的に「後ろ」という言葉が重いということ。

 

 

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 「バックオーライー」はこれから「後ろから」をテーマにするという宣言。

 

 ナニイッテンダコイツ……。

 と思わずに。

 脚本家は時々そういう遊びをするのよホント。

 

 

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 統一テーマ「後ろから」。

 「タンデムシート、バックアタックモード、トランスミューテーション」は後ろから揉むスタイル。

 

 

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 ペンギンが首を絞めて恭子を殺そうと思いかけるシーン。

 

 「後ろから」のテーマ。

 でも、紳士なペンギンはそれができなかった。

 

 

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 決めの部分を振り返りの笑みにしている理由は、「後ろから」がテーマである故。

 背を向いているはずの彼女がこちらを向いてくれる感動を呼び起こす。

 

 

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 Sixと話した橋の上で、「後ろから」の構図。

 

 

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 最後、体ごと振り向く恭子。

 「後ろから」のテーマは終わり、またいつもの日々を取り戻すというイメージ。

 

 

 真正面から戦いを挑んだSix

 

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 「後ろから」の逆を少々。

 

 後ろから首を締める行為、および暗殺をやめたSixは真正面から闘うことを選ぶ。

 その象徴のように互いが向き合うシーン。

 

 

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 後半部分のバトルシーン、ずっと「真正面」で相対して戦っている。

 「後ろから」の攻撃を拒否したSixの心情が、バトルの描き方でも表現されている。

 

 

 ペンギンが人間になり、イケメンならぬイケペンになる話

 

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 もう一つのテーマ。

 ペンギンが人間になる話。

 

 なので登場するロボも偽ダイミダラー。

 (ペンロボが、人間の乗るロボになっている)

 

 

 ……なんだけど、もう少し深く読むなら、ペンギンが人間になる……ではなく、「ペンギンと人間は同じ」なんだと思う。(作中で描かれているように、ペンギンは優しい連中が多い)

 

 

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 イケペン。

 

 

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 右手が破壊されるペンロボ。

 

 

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 右手が破壊されるダイミダラー。

 ペンロボとの対比。

 

 これら以外にも、ペンロボとダイミダラーは似たような技を繰り出したり、攻撃などが合わせられてる。

 

 

 人間とペンギンの家族

 

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 振り返ると、恭子が「人ひとりに家族が居て……。」と語っていたシーンの中央に、子供連れの夫婦が描かれていたことも、「恭子とSix」の未来を連想させる手法。

 

 

 「あの人も その人も ここから見えないところにいる沢山の人達にだって その一人ひとりに家族がいて その数だけ幸せがある」

 

 と恭子に語らせたように、この遠景はすべて誰かと誰かがいる。

 (なので多分、この遠景構図はちゃんと意図的だとわかる)

 

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 このカットの沢山のカモメ達も意味があって、同じ鳥類であるペンギンたちにも家族があるということを示している。

 

 

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 以上の流れを踏まえると、恭子の家族写真を見てSixが暗殺をやめた理由がスッと入ってくるはず。

 

 人間側から見たあちらにも、ペンギン側から見たあちらにも、それぞれの家族があるのだ。

 (立原道造の詩で、「山なみのあちらにも しずかな村がある」と歌わせていることに繋がる)

 

 

 胸のいかり

 

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 胸の錨(いかり)。

 

 

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 胸の怒り(いかり)。

 

 「(恭子自身の内に湧き上がるペンギンへの)怒りを壊してよ!」とかけている……はず。

 

 

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 「なんで……撃ったのよ」は凄くいい台詞。

 ダブルミーニングの「いかり」と合わせて、恭子の後悔が見える。

 

 (ニコニコだと、どうやらネタではないっぽい「お前が言ったじゃねーか」的なコメが沢山見られたけど、せめてこれくらいは揺れる恭子の複雑な心情を理解しようよ、とは思う)

 

 

 空に飛んで消えた夢

 

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 空に羽根を飛ばしてしまった恭子。

 (羽根=鳥の象徴なので、ペンギンとの愛を手放すという意味)

 

 これのフックになって、つながるのが次のシーン。

 

 

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 ダイミダラー勝利時のシーン。

 左手が空に伸びるが、何もつかめない。

 

 

 どうして、空に手を伸ばすことが幸無きイメージに繋がるのかというと、次のシーンがあったから。

 

 

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 女の子が風船をつかめない描写。

 これがさり気にイベントとしてあるのが凄いよね。

 おかげで、構図がしっかりとつながってくる。

 

 ここではSixが現れ、女の子の願いを叶えてくれる。

 だからこそ、最後のダイミダラーが、空に手を伸ばすシーンがより悲痛に刺さる。

 

 

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 二つの風船は、双宿双飛。あるいは比翼の羽根の比喩。

 コマンダーSixと恭子の比喩。

 

 

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 この女の子のキャラデザは、恭子に似ている。

 しかも、しっかり見ると「瞳が黄色」。

 おそらくは瞳が黄色い「コマンダーSix=ヘンリー」と「恭子」の仮想的な子供としてのデザイン。

 

 (モブとして登場させたキャラクターに、自分の昔の姿を重ねたり、将来のイメージを重ねるというのはよくある手法。『さんかれあ』のアニメ第七話でも似たような手法が使われていた)

 

 

 ……と。

 以上見てきたように、ダイミダラー四話は脚本の技巧が素晴らしい回。

 

 「健全なアニメ」としても普通に楽しめるのだけど、本編はすごくしっかりロボットアニメしているし、シナリオ、絵、音楽、声優と実に豪華。もっとたくさんの人に見てもらいたいアニメだと思ってたり。(そういや魔乳秘剣帖も、実に時代劇していたアニメだったなあ。パロディをうまくやりきるには王道をしっかり研究していたほうが良い物がうまれるっぽい)

 

 

 おまけ その一

 

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 これは1話からだけど、エンディング最後のダイミダラーのロゴが消える時、一瞬「sex」になってる。

 

 

 おまけ そのニ Cパート

 

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 後ろからリカンツに抱きつかれたSixがヘンリーに戻るシーン。

 「後ろから」という今回のテーマが最後まで貫かれている。

 

 なお、ここは後ろから胸を揉まれるて孝一のHi-Ero粒子発生の糧となる恭子との対比。

 (ヘンリーは、後ろからリカンツに抱かれて、最後のHi-Ero粒子を無くす)

 

 

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 二つの花はもちろん二人を連想させるイメージ。

 

 

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