『さんかれあ』第七話における脚本の技巧
■ 蘭子の今と昔の対比
『さんかれあ』第七話はオリジナル回。
この回、かなり不評だったようなんだけど、構成や暗喩の重ね方が凄くしっかり意味を汲み取れる作り方をしているので実は凄い好きだったりする。
スクリーンショットは一番最初のシーンより。
道の反対側に走る二人の子供は、千紘と蘭子の過去の姿に似ている。
■ 手というテーマ
七話で使われている蘭子の恋愛感情表現が「手をつなぐこと」。
以下、手がモチーフとして使われているシーンをざっくりと。
解説しても見たまんまなのでひとまずスクリーンショットのみ。
なお、これら以外にも手にまつわるシーンがある。
蘭子の恋心はさておき、千紘はゾンビを選ぶのだという暗喩が、千紘が引っ張り上げるゾンビの手人形や映画の中の手を握れなかった二人という形で描写されている。
■ 木を利用しての立ち位置の区切り
多分……だけど、木という区切りがキャラの立ち位置の違いを表している。(残念だけど、千紘と蘭子は違う区切りにいる)
そういや『蒼き鋼のアルペジオ』でも、金剛とイオナが分かり合えないという演出の時、茶会チャットルームにて会話している時同じ画面に描かない……という演出があったようななかったような……(録画してなかったので、曖昧な記憶です)。
漫画とかでも、意見の違いを描写するときに、同じコマに描けるのにあえてコマを割っている時とかも、そういう意図がある場合がある(のだと推測)。
■ 犬派から猫派への変化
蘭子の部屋の模様が、犬系から猫系に変わっている。
この心情の変化の理由とは……。
犬に襲われたのを、猫耳っぽい髪の少年(千紘)に助けられたから。
■ 蘭子とれあの対比
蘭子が最後に太陽の下、丸みを帯びた柵の高台で空に向かって叫ぶシーン。
これは当然対比元があって。
1話のれあが深夜の月の下で、井戸(丸い)に向かって叫ぶシーン。
二人は千紘を挟んでのライバルだと明確にする演出。
月 : 太陽
下に向かって叫ぶ : 上に向かって叫ぶ
円形の閉じた場所 : 円形の広がる場所